みなさんこんにちは!
最近話題の遺伝子検査って聞いたことありますか?遺伝子をカンタンに検査して、自分の体質を知ることができます。
今回はスポーツ選手に向けて、遺伝子検査の活用方法を紹介します!

hiro
今回の記事はこんな人にオススメ!
- 遺伝子検査で何がわかるか知りたい
- 遺伝子検査をスポーツに活用したい
- 自分の体質を知りたい
遺伝子とは?
そもそも遺伝子とはどういうものなのでしょうか?
わかりやすく解説していきます。
遺伝子=生物の設計図の中身
人間をはじめとした生物の細胞には、染色体という組織があり、その中にDNAがあります。
DNAは二重らせん構造をしており、4種類の塩基という物質が様々な組み合わせになってらせんを作ります。この組み合わせによって生物が設計されます。
塩基はA・T・G・Cの4種類あり、A/TとG/Cの組み合わせがランダムに配列しています。配列の違いにより、遺伝的な違いが出現します。
プラモデルを作るときを例にしましょう。
組み立て説明書を見て作ると思いますが、この説明書自体がDNAで、説明書に書いてある文字が遺伝子です。
つまり、DNAの中にある生物の情報が遺伝子というわけです。
同じ組み立て説明書でプラモデルを作れば、全く同じプラモデルが何個もできます。人間に置き換えると、クローンですね。
ちなみに、二重らせん構造のDNAの中から、1本だけ取り出したものがRNAと呼びます。このRNAを元にして、タンパク質が複製されます。筋肉を作るときも、RNAの働きが必要です。
遺伝子により決定する体質
遺伝子にある設計図の情報から、人間は細胞分裂を繰り返して生命を維持しています。
設計図は変えることができないため、生まれたときからもつ体質があります。特に遺伝子によって決定される体質を紹介します。
- 代謝の速さ:遺伝性代謝疾患により心筋症などの異常を示す
- アレルギー:リンパ球媒介型免疫に影響する
- 骨格筋系:筋肉の性質、靭帯や骨の強さ←スポーツ選手は大事!
- その他:肌、髪、免疫系などが遺伝子に影響される
スポーツ選手に向けた遺伝子検査
スポーツ選手にとって知りたい遺伝子情報といえば、筋肉系ですね!
自分がやっているスポーツに合う筋肉を持っているかどうかが、勝負に関係してくるでしょう。フィジカルの強さが大きく影響する種目では、筋肉の性質が勝負を決めることもあります。
遺伝子検査では筋肉系のほかに、ケガのしやすさ、貧血のしやすさなどが判定できます。
筋肉系
人間の筋肉には、速筋線維と遅筋線維の2パターンが存在します。
速筋線維は、収縮する速度が速いため瞬発的な動きを得意とします。しかし、すぐに疲労してしまうので、長時間動くことがニガテです。
遅筋線維は、疲労しにくいので持久的な動きを得意とします。しかし、収縮速度は遅いので瞬発的な動きがニガテです。
速筋線維と遅筋線維の割合は、遺伝子によって決まります。
細かく見ていくと、遺伝子の中でもACTN3やACEといった遺伝型が関わります。ACTN3遺伝子内の577番目のアミノ酸(アルギニン)がXに置き換わるR577X変異というものがあり、この変異を2つもつXX型は速筋線維に対して不利な影響を及ぼします。反対に、RR型は速筋線維に有利な影響を及ぼします。
筋肉系の遺伝子を調べるときは、「速筋線維が発達しやすいか遅筋線維が発達しやすいか」を検査しています。
速筋線維が発達しやすい=瞬発的な動きが得意という解釈です。しかし、遅筋線維が全くないわけではありませんので、ご安心ください。
速筋線維と遅筋線維については、別の記事に詳しく説明しています。
ケガのしやすさ
遺伝子検査ではケガのしやすさも調べることができます。
ケガのしやすさをあらかじめ知っていれば、対策をして予防できます。ケガなく試合までに体調を整えることも、スポーツ選手にとって大切です。
主に調べられるものは、筋損傷・靭帯損傷・疲労骨折です。それぞれを表にしてまとめました。
ケガの種類 | 具体例 | 調べる遺伝型 | 関与する要素 |
筋損傷 | 肉離れ | ACE、ESR1、COL1A1、COL22A1 | エストロゲン(筋の硬さに関与) |
靭帯損傷 | 足首の捻挫 膝前十字靭帯損傷 | CYP19A1、COL1A1、ACTN3 | Ⅰ型コラーゲン(骨の強度に関与) |
疲労骨折 | 脛骨疲労骨折 腰椎分離症 | COL5A1 | Ⅴ型コラーゲン(コラーゲン線維の強度に関与) |
貧血のしやすさ
貧血とは、血液中の赤血球が減少してしまい、細胞への酸素運搬が不足してしまうものです。
原因は様々ありますが、スポーツ選手は一般人より貧血になりやすいです。
激しい運動をすると、カラダは酸素を大量に消費します。消費した分を補うことができなくなると、細胞へ送る酸素が不足し、貧血の症状が出てきます。
その他に、大量の発汗によるミネラルの流出や、食事の偏りによる鉄分不足もあります。
貧血になると、細胞へ酸素を送る能力が低下します。酸素がないと筋肉などの組織のエネルギー(ATP)を生み出すことができません。ATPが少ないと、筋肉がうまく収縮できなくなるので、スポーツのパフォーマンスも低下します。
選手は結果をどうやって活用すべきか?
遺伝子検査は、時には残酷な結果を知らせるかもしれません。
どんなに足掻いても、変えることができない現実を突きつけられます…
今までマラソンを頑張ってきた選手は、「あなたは持久力が低いです」と結果が出てしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
今までサッカーを頑張ってきた選手は、「あなたは瞬発力が低いです」と結果が出てしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
ここからは、私個人の考えになります。
どんなスポーツにも、自分の強みを活かすことはできます。スポーツは一般人よりも高い身体能力が必要であり、身体能力を限界までひき出すことで、どんなスポーツにも勝負できると思います。
マラソンは持久力が必要とするスポーツの代表格です。
ですが、常に走り続けなければなりません。走るという動作は、瞬発力も必要です。走る=片足ジャンプの連続と言われるくらい、瞬間的にチカラを使う能力が要求されます。
サッカーのような球技スポーツはどうでしょうか?
サッカーはダッシュやシュートの時に瞬発的な能力が要求されますが、それだけではありません。試合中は常に動き続けていて、ダッシュを繰り返し何回もやってます。これは持久的な能力が高い方が有利です。
そのほかのスポーツ種目でも、瞬発的な能力・持久的な能力どちらも必要です。
遺伝子によって決定されたものは変わりません。その現実を受け止め、伸びやすい能力は伸ばして、ニガテな能力を補うことが大切です。

まとめ
スポーツ選手が遺伝子検査をやるときのポイントをまとめました!
- 遺伝子検査により、速筋線維と遅筋線維の発達のしやすさがわかる
- 遺伝子検査により、ケガのしやすさや貧血のかかりやすさがわかる
- 自分の伸ばしやすい能力とニガテな能力を知り、スポーツに活かす
参考文献
Metabolic Cardiomyopathies and Cardiac Defects in Inherited Disorders of Carbohydrate Metabolism: A Systematic Review Federica Conte 1 2, Juda-El Sam 1, Dirk J Lefeber 1 3, Robert Passier 2 4 Int J Mol Sci 2023 May 11;24(10):8632.doi: 10.3390/ijms24108632. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37239976/
Shared genetic origin of asthma, hay fever and eczema elucidates allergic disease biology Manuel A Ferreira Nat Genet 2017 Dec;49(12):1752-1757.doi: 10.1038/ng.3985.Epub 2017 Oct 30. https://strongmuscle-blog.com/wp-admin/post.php?post=429&action=edit