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筋肥大や筋力増大という言葉は聞いたことありますか?
トレーニング初心者の方も、脳筋度MAXの熟練した方も、
この言葉はぜひとも覚えていただきたい大事なフレーズです!
今回は筋肥大・筋力増大とはどういう意味があるのか?
そしてこれらを知ることでどんなメリットがあるのか?
というテーマでお話ししていきます。
筋トレをやる目的
まずみなさんに、筋トレをやる目的を考えていただきたいです!
筋トレはやり方によって効果が変わります。
詳しくは筋トレの基礎知識1でお話ししていますので、チェックしてください!
筋トレの効果を最大限発揮させるには、目的に合わせたトレーニング方法をしなければなりません。
筋トレをするおおよその目的から、筋トレの効果を最大限引き出せる方法を選択しましょう。
目的を選別する
以下に筋トレをする人が掲げるであろう目的をプランA・Bという分け方でリスト化しました。
該当するものがあれば、チェックをしてください。
- 筋肉をつけて健康的な生活を送りたい
- 基礎体力をつけたい
- 生活習慣を見直したい
- 生活習慣病になった、もしくは予備軍と医師から診断された
- 異性からモテたい
- 日々の生活を豊かにしたい
- SNSで映えることがしたい
- ボディビルやフィジーク、ビキニの選手のように筋肉をがっつりつけたい
- スポーツの競技力向上のために筋トレをしたい
- 瞬発力をつけたい
- ボディビルやフィジーク、ビキニの選手のように筋肉をがっつりつけたい
該当するものはありましたか?
項目の数に偏りはありますが、どちらのプランが自分の目的に合っているか選択しましょう。
目的を明確にする
プランが決まったら、そのプランに適した筋トレの目的を明確にしましょう。
プランA・Bそれぞれに適した目的は以下の通りです。
筋肥大・筋力増大とは?
新米トレーニー
自分のプランにあったものが明確になったけど、
筋肥大とか筋力増大の意味がイマイチ…
それではここから本題!
筋肥大と筋力増大を深堀りしていきましょう。
そもそも筋肉ってどういう組織?
筋肥大や筋力増大を深堀りするために、まずは筋肉という組織の中身を見ていきましょう。
筋肉は筋線維という線維状の組織が束となって形成されます。
長い髪の毛を束ねてヘアゴムで結んだ時と同じような状態です(わかりづらい?)
筋線維は収縮と弛緩を行うことができる構造となっています。
アクチンフィラメントとミオシンフィラメントという組織が重なり合っており、ミオシンフィラメントの鉤状の組織がアクチンフィラメントを引き寄せることで筋線維全体が短縮(筋肉が縮む)します。
筋線維はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが組み合わさったブロックが電車のように連なっており、筋肉を縮ませようとすると筋線維全体が反応して短縮します。
テーブルクロス引きのように、パフォーマーの手(ミオシンフィラメント)がテーブルクロス(アクチンフィラメント)を引き寄せるようなイメージです。
筋肥大(きんひだい)とは?
肥大という名の通り、筋肉が大きくなることを筋肥大と言います。
一般的な筋トレは、ダンベルやバーベル、マシンを用いて関節を動かす動作になります。
筋肉が収縮して関節を曲げ伸ばしすることで、筋肉の細胞に負荷がかかります。
このことを機械的張力と言います。
機械的張力が筋肉の細胞にかかると、筋肥大を発現させる様々なセンサーが活性化します。
このセンサーを機械的刺激受容体(メカノセンサー)と呼ばれています。
メカノセンサーは筋線維の細胞にある様々なシグナル(Caイオンなど)を刺激し、筋タンパクの合成を促します。
この一連の流れをメカノトランスダクションと呼ばれ、複雑な過程をたどって筋肉の合成が行われます。
図,メカノトランスダクションのプロセス
(P.G De Deyne “Application of passive stretch its and its implication for muscle fibers,”Physical Therapy 81,No.2,2001:819-827 より引用
筋タンパクの合成が促進されると、筋線維の断面積が増加するので筋肉が太くなります。
筋線維の本数が新しくできることはないという研究結果が主流ですが、断定はされてません。
筋力増大とは?
筋力は何で決定されるのかをご存知ですか?
先ほどお話しした筋線維は、太い線維ほど強い収縮力があります。
この太い線維がたくさんあれば強く収縮できる=筋力が強くなるという訳です。
新米トレーニー
つまり、筋肉が太ければ太いほど、筋力が強くなるの?
hiro
いや、、、
そうでもないんだよな!!
筋肉を収縮させるためには筋肉以外の要素も大事なんだよ。
筋肉を縮めようとする時、みなさんはまず何をしますか?
「肘を曲げよう」とか「膝を伸ばそう」とかを考えて動かしているはずです。
つまり、筋肉を縮めようと脳が命令を出しています。
筋肉は筋肉自体が自然と縮むわけではありません。
脳の命令が神経を通じて筋肉を縮ませています。
この筋肉と神経系のつながり=神経筋系(Neuromuscular system)も、筋力増大には必要です。
筋肉、とりわけ骨格筋と呼ばれる自分の意思で動かすことができる筋肉は、運動神経により支配されています。
1つの運動神経には多数の筋線維が連結していて、その組み合わせを運動単位といいます。
運動単位全ての筋肉は、一定の神経インパルスがないと筋肉を縮ませることができません。
ある運動単位が筋肉を動かすために必要な神経インパルスが100とした場合、60や70程度では筋肉は全く反応しません。これを全か無かの法則と言います。
筋トレを行うことで神経インパルスを100にすることができます。
筋トレにより反応できる運動単位を多くすることで、筋肉の出力も上がる=筋力が増大するという仕組みです。
筋肥大・筋力増大まとめ
長々と小難しい話をしましたが、シンプルにまとめました!
- 筋肥大…筋トレによりメカノセンサーが活性化→筋タンパク合成→筋線維が太くなる
- 筋力増大
- 筋肥大による筋線維の収縮力の増大
- 運動神経の活性化→筋肉を使う時に参加する運動単位が増加→筋肉全体の収縮力増大
筋肥大は上記以外にも代謝ストレスや栄養によって左右されるため、いずれ詳しく取り扱う予定です。
筋肥大=筋力増大?
今までのお話しから、筋肥大ができれば筋力増大にもつながると思われるかもしれません。
しかし、筋力増大には神経筋系の関与があるため、筋肉が大きければ筋力もあるとは言えません。
最初にみなさんに考えていただいた筋トレをする目的でプランBを選択したい人は、
神経筋系の促進を考慮したトレーニングを行う必要があります。
RM法を用いるスタンダードな場合は、1RMに近い重さで最大出力を目指すことが大切です。
- 筋肥大≒筋力増大 神経筋系の関与があるため
- 神経筋系の促進を考慮したトレーニング…RM法では1RMに近い重さを扱うなど
RM法について取り扱っている記事がありますので、そちらも参考にしてください!
参考文献
骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用 Brad Schoenfeld (著者), 後藤 勝正(監訳) 2021.11.6