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難易度 |
脳筋度 |
フリーウエイトという言葉を聞いたことはありますか?
多くの初心者トレーニーは、まずマシントレーニングから入りがちなのであまり馴染みがないかもしれません。
しかし、初心者の方こそフリーウエイトをやってほしいと私は考えています!
新米トレーニー
でもフリーウエイトって難しいから
まずはマシンでいいんじゃないの?
hiro
何を言ってるんだ!!
フリーウエイトこそ、
筋トレの基礎となるのだ!!!
フリーウエイトトレーニングとは?
フリーウエイトトレーニングの基礎的なお話しをしていきます。
初めて聞いたという方も、理解ができると思います。
どんなトレーニング?
フリーウエイトとは、ほとんどの場合バーベルやダンベルのことを指します。
バーベルを担いでスクワットをしたり、ダンベルでアームカールをしたりすることをフリーウエイトトレーニングと呼びます。
当ブログではとりわけフリーウエイトトレーニング=バーベルを用いたトレーニングとします。
種目
バーベルを使ったトレーニングは多数あります。
今回は代表的な種目を紹介します。
- スクワット
- 足を骨盤幅程度に開いてしゃがみ込み、そこから立ち上がる
- バーベルを肩に担ぐバックスクワット、鎖骨に担ぐフロントスクワットなどがある
- 下半身から体幹部の筋肉を使う
- キングオブトレーニングと呼ばれている
- デッドリフト
- 足を肩幅程度に開き、床に置いたバーベルを持ち上げる
- バーベルを膝下あたりまで下げてから持ち上げるルーマニアンデッドリフトなどがある
- 下半身から体幹部(特に背筋群〜臀部&ハムストリングス)の筋肉を使う
- ベンチプレス
- ベンチ台に仰向けになり、バーベルを胸まで下ろして持ち上げる
- 主に上半身の筋肉を使う
- 上級者になれば下半身や体幹部の筋肉も使うようになる
- ベントオーバーローイング
- 上半身を軽く前傾したまま、肘を引いてバーベルを持ち上げる
- 主に背中の筋肉を使う
- クリーン
- 床に置いたバーベルを素早く引き上げて鎖骨に乗せる
- 全身の筋肉を使う
- 動作スピードが速いためパワー発揮のために行われる
- 上級者向け
- スナッチ
- 床に置いたバーベルを素早く引き上げ、バンザイの姿勢まで持ち上げる
- クリーンより難易度が高い
- 上級者向け
特に①〜③はBIG3と呼ばれ、この3つのトレーニングが完璧にできれば全身の筋肉を使えるようになると言われています。
スクワットはキツいイメージなのでみなさん避けがちですが、下半身のトレーニングをするならまず第一にスクワットをオススメします!
上記にあげたトレーニングの詳細はまた別の記事で詳しく扱っていきますので、そちらを参考にしてください。
特徴
フリーウエイト、特にバーベルを用いたトレーニングの特徴をまとめました。
- 多くの関節運動が発生する(多関節運動)
- 重力下で各個人に適した筋力発揮ができる
- 人体の動作システムに沿った筋力発揮ができる
- マシントレーニングと比較して経済的に安価
- 正しい方法が世間に浸透できていない
①〜③は人体の解剖学的な観点になります。
人体は全体が1つのシステムとして機能し、歩く・物をつかむ・しゃがみ込むといった様々な動きができます。生物は体を動かすとき、まず最初に脳が命令を下します。その後、神経によって命令が伝達され、筋肉が縮むことで関節が動きます。これら一連の仕組みを神経筋(neuromuscular)と呼びます。
バーベルトレーニングはこの神経筋のシステムに沿った動きの中で、負荷をかけることができます。トレーニングを行う本人が体の動かし方を調整します。スクワットをする時は、足だけではなく体幹を安定させるために腹筋も使います。この調整が人体の動作をより強固にし、より強い力が発揮できるようになります。
たくさんの筋肉を同時に鍛えることができるので、効率性も上がります。スクワットさえやれば、レッグエクステンションやレッグカールなど足回りのマシンを一通りやることと変わりはありません。
④は実際にジムを運営する人の観点になります。
完璧なパワーラックはもちろん高価ですが、バーベルやベンチ台はそれほど値段が高くはありません。反対にマシントレーニングは1台1台が高価で、さらに全身を満遍なく鍛えるとなると多くの種類を揃える必要もあります。個人的に自宅でやりたいという場合も、どちらの方が手を出しやすいでしょうか?
⑤はネガティブなお話になります。
1970年代にマシントレーニングが開発され、フィットネス業界に革新が起きました。誰でも簡単に筋トレができるという触れ込みでマシントレーニングは世界中に拡散され、筋トレ=マシンのような状態になりました。フィットネスジムの売上も好調になるので、ほとんどのジムはマシンの機器で埋められるようになりました。
その代償として、バーベルを扱うジムが減り、正しく指導できるトレーナーがいなくなってしまいました。資本主義社会なので利益優先は当然です。しかし、フィットネス業界の質が低下したことは事実です。
フリーウエイト VS マシン
最初にお話ししたように、初心者の方のほとんどはまずマシントレーニングから始めることが多いです。
果たしてこれは本当に正しいことなのでしょうか?
まず、従来考えられているフリーウエイトとマシンの違いを見てみましょう。
フリーウエイトトレーニング | マシントレーニング | |
姿勢 | ほとんど立位姿勢 | ほとんど座位姿勢 |
重力 | あり | ほとんどなし |
関節運動 | 多関節運動 | 単関節運動 |
バリエーション | 豊富 | 単一 |
難易度 | 難しい | 簡単 |
姿勢&重力
姿勢と重力は地球上で生きている私たちにとって必ず影響を及ぼします。
重力は地球上の生物に質量をもたらし、それに対抗することができればモノを持ち上げたり、速く移動することができます。筋トレも同じように、どれだけ重力に対抗するかが課題となります。
地球上で生きている私たち人間にとって、重力に対抗するにはどのような姿勢が理想的でしょうか?
答えは、地面に足がついている状態です。
直立二足歩行が人間の自然な状態であるため、地に足がついていることが自然で、重力に対抗する最も効率が良い姿勢です。
効率が良いとは、決して楽をしているわけではありません。人間が地面に足がつくと、重力に逆らうために全身の筋肉が反射的に活動し、姿勢を維持させます。私たちに備わっている人間本来の機能が発揮されます。
バーベルトレーニングはこの効率が良い姿勢でトレーニングをします。反対に、マシントレーニングはどうでしょうか?
ほとんどが座った姿勢です。地面に足がついていないため、重力への対抗ができていません。すなわち、人間本来の機能を発揮できていないのです!
高い負荷をかけながら不自然な動きを何回も繰り返してしまうマシントレーニングは、諸刃のつるぎです。
たくましい筋肉をつけることは可能かもしれません。しかし、筋肉のバランスが崩れたり、関節に余計な負担がかかりケガにつながったりします。
関節運動
筋トレは筋肉を縮ませることで関節を動かし、重りを動かします。運動の中心は関節です。
姿勢と重力のお話と同様、バーベルトレーニングは自然な関節運動ができます。
わかりやすいところは膝です。膝は前もも(大腿四頭筋)ともも裏(ハムストリングス)がバランスよく使われることで、滑らかな関節運動ができます。
この運動を可能にする代表的な運動は、スクワットやデッドリフトです。これらは膝だけではなく、股関節や足首も同時に動くので、足全体をバランスよく使われます。
マシントレーニングのレッグエクステンションは、膝を伸ばすだけなので大腿四頭筋のみが使われます。大腿四頭筋単独での力が強すぎてしまうと、膝の骨同士が擦り減ることがあります。これが長期間続いてしまうと、関節の軟骨が摩耗して痛みが出てしまいます。
筋トレして鍛えてるのに、逆に自分を壊してしまいます。
非常にもったいないです!!
バリエーション
バーベルトレーニングを始め、フリーウエイトはトレーニングのバリエーションがとても豊富です。
バーベル1本さえあれば、BIG3からクリーン&スナッチなど何種類ものトレーニングができます。
マシンはどうでしょうか?
レッグエクステンションの機械は、レッグエクステンションしかできません。全身をくまなく鍛えたいと思ったら、高価なマシンを何種類も揃えなければなりません。しかも場所も取ります。
狭いスペースしかないパーソナルジムや、一般的な住宅でトレーニングをしたい場合、どちらを選択するのがいいでしょうか?
私は絶対バーベルを買います!!
難易度
フリーウエイトトレーニングの一番のデメリットと言えるのが、その難しさです。
ここまでマシントレーニングを否定するお話が多かったですが、とても素晴らしい発明だと思っています。その理由は、誰でも簡単に筋トレができるからです。特別な指導者も必要ありません。
反対に、フリーウエイトトレーニングは洗練された指導者から、正しいやり方を直接指導してもらう必要があります。そうしなければ大きなケガにつながります。
初心者こそフリーウエイトをやろう
ここまでのお話で、フリーウエイト(バーベル)トレーニングの素晴らしさが伝わったかと思います。
最後に私からブログをご覧の皆様に伝えたいことは、
初心者の方こそフリーウエイトトレーニングにチャレンジしてほしい!!
ということです。
その理由は3つあります。
- 正しい関節運動ができる
- 重力を上手くコントロールする
- 効果が高い
- 正しい関節運動ができれば、関節への余計な負担がなくなるため、ケガのリスクが減少します。トレーニングは重りという負荷をかけて体に適応させる作業です。その負荷に耐えれなくなってしまい、最終的にケガをしてしまえば元も子もありません。
- 地球上の生物は重力に支配され、それに対抗することができれば身体能力(筋力・バランス・瞬発力など)が高くなります。人間本来の機能を活かしたトレーニングは、全身を満遍なく使い、そして強固な体を作り上げます。
- 多関節運動は多くの筋肉を動員するため、筋肥大に必要な代謝ストレスなどの生理的な反応が高くなります。
しかし、フリーウエイトトレーニングの最大のデメリットが、正しい方法でやらなければ意味がないということです。
筋トレ初心者の方には荷が重いと思いますが、是非ともパーソナルジムなどの専門家がいるところに、一度行ってみてはいかがでしょうか?
参考文献
スターティングストレングス Mark Rippetoe (著), 八百 健吾 (監訳) 2019.4.5
Barbells vs Machines: What’s Better for Strength?https://barbell-logic.com/barbells-free-weights-vs-machines/