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筋トレの基礎知識1で重さの設定についてお話ししました。
この記事では回数やセット方法について深掘りしようと思います。
回数やセットの方法は重さと同じくらい筋トレの効果を高めるために重要です!
最適な回数・セットとは?
筋トレは何回・何セットでやったかにより、効果の違いが出ます。
これは重さの設定とも共通しますが、筋肥大と筋力増大のどちらを目的とするかにより回数やセットも変えなければなりません。
筋力増大に適切な回数
例えば1RMを考慮してスクワットを50kgで10回3セット行うときと、100kgで5回を3セット行うとき
筋力増大を目的とした場合はどちらを選択すれば良いでしょうか?
答えは100kg5回3セットです!
筋力増大は8回以内でできる重さを扱う必要があります。
詳しくは筋トレの基礎知識1をご覧ください。
筋肥大に適切な回数
では、筋肥大を目的とした場合はどうでしょうか?
50kg10回か、100kg3回か?
hiro
実は、、、
両方とも結果は同じになるんだ!!
トレーニングボリュームとは、一定時間内に行われる運動の量という意味があります。
筋トレでは反復回数×セット数で表すことが多いです。
特に重りを扱う筋トレの場合、重りの負荷もあわせた総量=総負荷量がトレーニングボリュームになります。
総負荷量=ある期間内で特定の筋肉に対する種目を行った時、挙上した重さの積(掛け算した合計)
先ほどの50kg10回3セットと、100kg5回3セットの人が、
1週間のうち2日間スクワットをやる日があった場合はどうなるでしょうか?
(50kg×10×3)×2=1500kg×2=3000kg
(100kg×5×3)×2=1500kg×2=3000kg
どちらも総負荷量は3000kgになります!
この総負荷量をどれだけ多くできるかが、筋肥大の効果を高めるために重要となります。
筋肥大については筋線維の断面積増加を目的とすることなので、そのために必要な身体的反応(代謝ストレスなど)を出すために筋持久力を高める方法も大切です。
20回程度の高回数行うことも効果があります。
筋力増大・筋肥大に適切なセット
回数については、筋力増大と筋肥大で違いがありました。
ではセットについてはどうでしょうか?
筋肥大の効果を最大化するには、各筋群において週あたりトータル10〜20セットが最も効果的と言われています。
同一の筋肉に対してセットを組むので、大腿四頭筋(前もも)であればスクワットとレッグエクステンションは同じセットとカウントします。
上級者のトレーニーはそれ以上のセットを組む必要があるという研究結果があります。
しかし、上限はどこまでが正解か?というところの答えはありません。
人間の身体的器官(代謝系・骨格筋系・神経系など)は筋トレに敏感に反応します。
さらに、筋肥大に対する効果は遺伝子でも決定されます。
上級者の場合は、長期的なトレーニングによる適応能力を観察しなければなりません。
回数・セットまとめ
回数・セットは重さの設定と合わせて考えてみることをオススメします!
まとめましたので、参考にしてみてください。
- 筋力増大に効果を出す
- 回数:8回以内
- セット:週あたり10〜20セット
- 筋肥大に効果を出す
- 回数:総負荷量を増加できる回数、1〜20回程度まで幅広く扱う
- セット:週あたり10〜20セット
- 上級者はセット数をより多くすることも必要
先進的なセット方法に効果はあるのか?
筋肥大を目的とした先進的な方法に、ドロップセット法とスーパーセット法があります。
最新の研究結果も踏まえて、効果があるのか説明していきます。
ドロップセット法
一般的なドロップセット法は以下のように行います。
- 1セット目はできるだけ重い負荷を設定(3〜5RM)し、反復できなくなるまで行う
- 2セット目は1セット目から20〜30%重さを落とし、1セット目と同様に反復できなくなるまで行う
- 3セット目は2セット目から20〜30%重さを落とし、反復できなくなるまで行う
- 4〜5セットを目安に行う
- セット間の休憩時間はなるべく短くする
このようにドロップセット法は限界まで筋肉を追い込むことが特徴です。
また、休憩時間が短いためトレーニング時間も比較的短時間で終わります。
新米トレーニー
かなりキツそうだから効果ありかもしれないな〜
hiro
新米トレーニー君残念!!
ドロップセットと普通のセット法では、
ほとんど結果は同じなんだ!!
伝統的なセット方法も、ドロップセット法も、総負荷量が変わらなければ筋肥大の効果に変化は見られません。
しかし、ドロップセット法は総トレーニング時間が短いので、時間が少ないトレーニーはドロップセット法を取り入れると良いかもしれません。
スーパーセット法
スーパーセット法はいくつか種類があるため、代表的な方法を2つ紹介します。
ペアセット
- 主に鍛える筋肉と拮抗する筋肉を選択する(前ももの大腿四頭筋であればもも裏のハムストリングス)
- 主に鍛える筋肉のトレーニングを行い、その後すぐに拮抗する筋肉のトレーニングを行う
(大腿四頭筋=レッグエクステンション・ハムストリングス=レッグカール)
コンパウンド・スーパーセット
- 主に鍛える筋肉のトレーニングで、単関節運動と多関節運動を選択する
- 始めに単関節運動を行い、その後に多関節運動を行う
(レッグエクステンション→スクワットなど)
新米トレーニー
これもキツそうだしボディビルダーの人もやってるから効果ありそうだな〜
hiro
新米トレーニー君残念!!
実はこのスーパーセット法…
絶対に筋肥大するという確証がまだないんだ!!
現在、スーパーセット法に関する研究が少ないため、信頼性のある結論が出ていません。
伝統的なセット方法より効果がマイナスになるという報告もあるので、トレーニングに慣れていない場合は慎重に取り入れる必要があるかもしれません。
トレーニング時間を短縮して効果を出すことができるという研究結果があるため、トレーニングボリュームを削ることなく時間短縮をしたい人は、チャレンジしても良いでしょう。
先進的セット法まとめ
ドロップセット法もスーパーセット法も、筋肥大に対して確実に効果があるとは言えません。
上級トレーニーが取り入れがちで、疲労感や達成感が得られやすいため効果があると思われがちですが、それを鵜呑みにしない方が良さそうです。
特に初心者の方は、自分に合った重さや回数で正しいフォームを身につけることが最優先です。
周りの情報に惑わされず、地道にトレーニングを積んでいきましょう!
参考文献
骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用 Brad Schoenfeld (著者), 後藤 勝正(監訳) 2021.11.6
Effects of Drop Sets on Skeletal Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-analysis https://link.springer.com/article/10.1186/s40798-023-00620-5