みなさんこんにちは!

筋トレをして筋肉を大きくするために、サプリメントを使っている人は多いと思います。馴染みのあるプロテインや、今ではプレワークアウトと呼ばれるものまで、種類がたくさんあります。

これらは果たして健康に問題がないのでしょうか?科学的根拠をもとに解説していきます。

hiro

今回の記事はこんな人にオススメ!

  • 筋トレのためにサプリメントを使おうか迷っている
  • サプリメントの安全性を知りたい
  • 健康的に筋トレをしたい

販売しているサプリメントの種類

現在、筋トレの効果を引き上げるために販売されているサプリメントは、目的によって種類が変わります。

まずはサプリメントの種類を紹介します。

筋肉材料系

筋肉を作るときには、材料が必要です。材料の代表格といえば、プロテインですね。

言わずと知れたプロテインは、筋肉を作るタンパク質の補給のために使われます。体内に取り込んだタンパク質はアミノ酸に分解され、アミノ酸をもとに筋肉の合成が促進されます。

プロテインには、ホエイプロテインソイプロテインカゼインプロテインが主に流通しています。

アミノ酸の補給には、プロテインの他にBCAAEAAがあります。

プロテインについては、別の記事も参考にしてください!

エネルギー供給系

筋肉を動かすエネルギーを生み出すためのサプリメントです。いわゆるプレワークアウトと呼ばれるものですね。

筋トレやスポーツで、高いパフォーマンスを維持するために摂取されています。

人間が筋肉を動かすときには、ATPというエネルギーを使います。ATPが消費され、筋肉内にATPがなくなってしまうと、筋肉は動かせなくなります。

ATPは体内で再合成されますが、再合成を促進させるサプリメントがあります。

また、生体のエネルギーである糖質を効率よく摂取するサプリメントもあります。

筋肉合成促進系

プロテインは筋肉の材料ですが、材料だけあっても合成させるスイッチがないと筋肉はうまく作られません。

そのスイッチを入れる役割があるものをサプリメントとして摂取します。

ネットでよく見かけるものは、HMB、グルタミン、カフェイン、テストステロンです。

HMB=β-Hydroxy-β-MethylButyrate(ベータ・ヒドロキシ・ベータ・メチル酪酸)は、必須アミノ酸であるロイシンが代謝されると産生します。筋肉の合成促進と分解抑制に効果があります。

テストステロンとは、筋肉の合成に関わるホルモンです。

HMBとテストステロンは、筋肉細胞の中でのタンパク質合成を活発にし、筋肉の成長を促進します。具体的には、mTOR(mechanistic target of rapamycin)経路を活性化し、筋肉細胞におけるタンパク質合成を増加させます。mTORは細胞成長やタンパク質合成に関与する重要な分子です。

テストステロンを直接摂取するのではなく、テストステロン分泌を促す成分を摂取します。ちなみに、直接接種する方法(注射や皮膚への塗布)をしたら、ドーピングになりますのでお気をつけて!

NO(Nitric Oxide)系

NO=一酸化窒素は、血流促進の効果があります。

一酸化窒素は、血管を構成する平滑筋を弛緩させるため、血管が開き、血流が促進します。

筋肉のエネルギーとなる酸素やATPは、血液によって全身に循環します。血流が促進されれば、エネルギーの供給が効率よくなります。

NOを産生する方法は、肝臓の代謝であるオルニチンサイクル、NOの供給源である硝酸塩(NO3-)を摂取するといった方法があります。

現在有益として考えられるものは、L-シトルリン硝酸塩(NO3-)を豊富に含む食品の摂取が、筋力アップに効果があると言われています。L-アルギニンは、他と比べて効果が低いようです。

サプリメントの具体例

紹介したサプリメントの全体像をまとめました。

分類種類・成分詳細
筋肉材料系ホエイプロテイン牛乳由来の成分であるホエイを原料としたもの。
筋肥大には特に効果がある。
ソイプロテイン大豆由来のタンパク質を原料としたもの。
ホエイプロテインより効果は低いとされている。
カゼインプロテインホエイと同じ牛乳由来の成分を原料としたもの。
ホエイより吸収速度が遅いため、持続的なタンパク質吸収ができると言われている。
BCAAバリン・ロイシン・イソロイシンの総称。
筋肉の合成に効果がある。
EAA必須アミノ酸の意味。
EAAの中にBCAAが含まれる。
エネルギー供給系クレアチンATPの再合成に必要なクレアチンリン酸の原料となる。
マルトデキストリンデンプン由来の糖質。
吸収が緩やかなので急激な血糖値上昇を防ぐことができる。
筋肉合成促進系HMBロイシンの代謝産物。
筋肉の合成促進と分解抑制に効果がある。
グルタミン筋肉の合成に関わるアミノ酸。
激しいトレーニング後のリカバリーにも使用される。
カフェイン中枢神経に作用して覚醒状態を作るほか、利尿作用もある。
テストステロン筋肉の合成に関わるホルモン。
NO系L-アルギニンアミノ酸の一種。
オルニチンサイクルによりNOを産生する。
L-シトルリンアミノ酸の一種。
オルニチンサイクルによりNOを産生する。
ビーツヨーロッパ原産の野菜を原料としたもの。
硝酸塩(NO3-)が多く含まれる。

サプリメントの危険性

摂取を控えた方がいいサプリメント

テストステロン

テストステロンは、人体に自然に存在するホルモンです。しかし、人工的に作られたアナボリックステロイドというものを摂取してしまうと、強い副作用が伴います。

アナボリックステロイドはサプリメントとは言えませんが、筋肉を大きくしたい欲が強すぎて使ってしまうと、大きな代償を生みます。

勝負に勝つために使うという考えが蔓延しやすいスポーツ界に広まりやすいです。

ちなみに、トレーニー界ではアナボリックステロイドを使って筋肉を大きくしている人を「ユーザー」と呼ぶそうです。

エフェドラ

エフェドリンという成分が含まれたサプリメントは減量の効果があるのですが、強い副作用があります。そのため、2004年にFDA(アメリカ食品医薬品局)が販売を禁止しています。

しかし、現在でも形を変えて日本でも販売されています。

エフェドラの使用による副作用として、心筋症・不整脈・突然死のリスクが報告されています。

カロリーオフのサプリメント

プロテインで見かけるもので、カロリーオフでも甘味のある商品は注意しましょう。人工甘味料で味付けをしている場合、成分表示を確認してから購入すべきです。

アスパルテームという人工甘味料は、2023年にIARC(国際がん研究機関)が発がん性のリスクがあるものとして発表しました。

しかし、この発表には確証のあるものではないので、あくまで「危険性が考えられる」という段階です。今後の研究結果を待ちましょう。

ほんの少しでもリスクがあり、心配という人は摂取をやめた方が良いと思います。

摂取量に気をつければ問題ないサプリメント

筋肉材料系

プロテインやBCAAの長期的な多量摂取は、腎臓や肝臓の機能障害に陥る可能性があります。BCAAばかりを多量に摂取し続けると、アミノ酸バランスの偏りによって肝機能障害を引き起こします。

クレアチン

クレアチンを多量に摂取すると、腎機能障害に陥る可能性があります。腎臓に問題がある人は、摂取する量を考えなければなりません。

NO系

NO系のサプリメントは、一部で副作用の危険性があります。しかし、量を調整したり、分割して摂取すれば問題ありません。

カフェイン

カフェイン覚醒作用により運動能力や認知機能が向上します。ヨーロッパでは科学的根拠が認められており、食品での機能性表示が義務化されています。

よく耳にするのがカフェイン中毒ですが、中毒症状を起こすにはコーヒー約20杯を短時間で飲まなければ発症しません。

また、依存性についても、タバコやお酒と比べてかなり低いので、摂取しても問題ありません。離脱症状(カフェインが切れると頭痛や注意力の欠如などが発生する)についても、徐々に摂取量を減らしていくと軽減されます。

ただし、睡眠に悪影響を及ぼす可能性があるので、寝る前には摂取しない方が良いです。

危険性が明らかでないサプリメント

残念ながら人の手が入っている以上、絶対安全なサプリメントは存在しません。

FDA(アメリカ食品医薬品局)の報告によると、サプリメントとして販売されている製品の中に、処方薬が含まれていることを発見しています。これには抗凝固薬、抗けいれん薬などが含まれます。

さらに、アメリカ政府は2012年の調査で、127種類の筋肉増強や免疫系のサポートとしてのサプリメントのうち、20%が違法な成分が含まれていたと発表しています。

次に紹介する安全なサプリメントの選び方を参考にしてみましょう!

安全なサプリメントの選び方

筋肉増強系や免疫系のサプリメントには、成分表示とは違ったものが入っている可能性があります。

もしかしたら違法な成分が混ざっているかもしれません!

なるべく安全・安心なものを選びたいという方は、認定マークの付いている商品を選びましょう。製造過程で適正な品質管理がされているものには、認定マークがつけられます。

特に、スポーツ選手はドーピング違反になってしまう可能性もあります。ドーピングは、選手生命だけでなく、あなた自身のカラダも脅かす危険性があります。

認定マークは数種類ありますので、代表的なものを紹介します。

JHFAマーク:日本健康・栄養食品協会

JHFA(認定健康食品制度)により、食品の安全管理について審査されて認定された商品につけられます。

GMP製品マーク:日本健康・栄養食品協会

GMP(good Manufacturing Practice)とは、原料の入庫から製造、出荷にいたる全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるように定められた規則とシステムです。

インフォームドスポーツ:Laboratory of Government Chemist(LGC/イギリス)

LGCは、イギリスにある研究機関です。最先端の科学技術により、食品や医薬品などの安全性を管理しています。LGCが提供するインフォームドスポーツは、スポーツ栄養サプリメントのための世界的な品質保証プログラムです。

BSCG:Banned Substances Control Group/アメリカ

2004年に設立された禁止薬物検査機関です。WADA(世界アンチドーピング機構)禁止リストにある274種類の禁止薬物の検査を行い、世界中のプロ選手や学生選手、そしてオリンピック競技のアスリートに安全を保証します。

まとめ

筋肉を強くするためには、栄養は必要不可欠です。

そのためにサプリメントで栄養を補うことは、間違ってはいません。しかし、サプリメントにはカラダに悪影響を及ぼす物質もあります。

成分表示されていないものが入っている商品は選ばない方が良いと思います。

ただし、自ら進んで選んだサプリメントを止めようとはしません。カラダの健康を犠牲にしても、勝負に勝ちたいと思う方は使ってください。

自分の健康を第一に考える方は、この記事を参考にサプリメントを選びましょう!

  • 危険性を伴うサプリメントは、テストステロン・エフェドラ・カロリーオフの商品
  • 摂取量に気をつければ問題ないものは、筋肉材料系(プロテインなど)・クレアチン・NO系
  • 安全な商品を選ぶには、認定マークのついたものが良い

参考文献

Mechanism of Action and the Effect of Beta-Hydroxy-Beta-Methylbutyrate (HMB) Supplementation on Different Types of Physical Performance – A Systematic Review Piotr Kaczka 1et.al J Hum Kinet2019 Aug 21:68:211-222. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31531146/

Effect of testosterone on muscle mass and muscle protein synthesis R C Griggs 1 et.al J Appl Physiol (1985) 1989 Jan;66(1):498-503. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2917954/

Dietary supplements for improving nitric-oxide synthesis Aysha Karim Kiani et.al J Prev Med Hyg 2022 Oct 17;63(2 Suppl 3):E239-E245. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36479475/

Supplementation with Nitric Oxide Precursors for Strength Performance: A Review of the Current Literature Adam M Gonzalez et.al Nutrients 2023 Jan 28;15(3):660. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36771366/

公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 https://www.jhnfa.org/gaiyou-0.html

インフォームドスポーツ https://sport.wetestyoutrust.com/ja/about/lgc

BSCG https://www.bscg.org