この記事のトレーニーレベル

初心度
難易度
脳筋度
脳筋度とは、筋トレに対する知識がどれだけ高いかを示す運営者独自の数値です

皆さんこんにちは!!

筋トレなどの運動をやってみたい、もしくは日常的にやっている方の中には、「ダイエットをして痩せたい」という目標がある人もいるかと思います。

そんな皆さんに向けて、ダイエットにとって効果があると科学的に証明されていることをまとめてみました!

「ダイエットシリーズ」第1弾は、有酸素運動が本当にダイエットに効果があるのか?についてお話ししていきます。

hiro

今回の記事はこんな人にオススメ!

  • 正しくダイエットをしたい
  • 健康的に痩せたい
  • 減量を目的としたトレーニングが知りたい

有酸素運動について

まずは、有酸素運動についてお話します。

そもそも有酸素運動はなぜ痩せると言われているのかを、解説します。

酸素を使ってエネルギーの素=ATPを生み出す

人間は呼吸により常に酸素を取り入れています。当たり前のことですが、なぜ人間は酸素を体内に取り入れているのでしょうか?

人間の細胞にはミトコンドリアと呼ばれる器官があります。このミトコンドリアの中では、酸素を使ってエネルギーを生み出しています。エネルギーといっても、食べ物のようなものではありません。細胞のエネルギーとなる「ATP」という物質を作り出しています。

図.ミトコンドリアの構造

ATP=アデノシン三リン酸は、ほとんどの生物にとって必要な物質です。細胞の増殖・筋肉の収縮・植物の光合成といったあらゆる活動に関与します。

トレーニーは、自分の細胞にあるミトコンドリアに酸素が取り込まれ、ATPを生み出し、それを使って筋肉を動かしてトレーニングをしているのです。

ATPを生み出すときに脂肪も使われる

ミトコンドリアがATPを生み出すときに、体内の脂肪も使われます。脂肪が分解されて脂肪酸となり、その脂肪酸が酵素の働きによってアセチルCoAという物質に変換されます。

アセチルCoAがクエン酸回路と呼ばれるエネルギー産生サイクルに使われ、ATPを生み出します。

これらの過程で酸素を使うため、人間は常に酸素を取り入れなければなりません。

酸素と脂肪を使い大量のATPを生み出す

上記のように、酸素を使ったエネルギー産生機構は体内の脂肪を使います。そのため、酸素を主に使う有酸素運動を行うと、脂肪の蓄積を減少させて痩せると言われています。

有酸素運動の定義

個人的に「有酸素運動」というキーワードでネット検索したところ、多種多様な物言いで有酸素運動と言われるトレーニングがありました。

中にはスクワットをゆっくりやれば有酸素運動だと言うサイトも存在しました
はっきりと言いますが、スクワットは筋トレです!

有酸素運動により体重減少の効果があると見込めるものは、1日30分程度や週150分くらいの運動時間が推奨されています。30分間ずっとスクワットし続けることができるでしょうか?

1日30分継続して運動することができるものが、有酸素運動です。そのため、当サイトでは以下のものを代表的な有酸素運動と定義します。

代表的な有酸素運動
  • ウォーキング
  • ジョギング
  • 水泳
  • エアロビクスダンス
  • サイクリング

ネットには効果が確かではないにも関わらず、有酸素運動と決めて拡散しているものが多いです。知識のない方がそれを鵜呑みにして、間違ったことをしてはいけません。

有酸素運動の研究まとめ

それでは、科学的に証明された研究結果をまとめましたので、紹介していきます。

研究1 有酸素運動と筋トレの比較

有酸素運動単独と筋トレ単独、そして有酸素運動&筋トレの併用を比較した研究です。

結果は、体脂肪減少においては有酸素運動単独が一番効果があると報告されています。筋肉量の増加を目指すのであれば、筋トレを併用することが理想ということでした。

研究2 カロリー消費量における体重減少

カロリー消費量を目安にした研究です。1日に運動のみでのカロリー消費量を400kcalと600kcalに分けて実験するという内容です。

結果は、400kcalと600kcalに大きな差はなく、体重減少が見られました。これは、運動の時間や頻度に関係なく、カロリー消費量を基準にして行うことで有酸素運動は効果をもたらすという報告です。

ちなみに、400kcalをジョギングで消費するとなると、成人男性60kgの人の場合45分程度走る必要があります。

研究3 食事管理と有酸素運動

過体重・肥満と判定された人が有酸素運動を行った実験をまとめた報告があります。その報告は1970年から2010年までに発表された実験をまとめて統計をとるというものです。この方法は妥当性がとても高くなるため、科学的根拠にするには最適です。

12週間から12ヶ月の間に、中等度の有酸素運動のみで実験を行いました。

結果は、体重の減少があまり見込めないという残念な結果でした。有酸素運動のみで痩せることには限界があるということです。

この研究の総括として、食事管理を併用した方法がオススメされています。

研究まとめ

まとめ

有酸素運動についての研究は数多くあり、歴史があります。

多くの研究を統計的にまとめた妥当性の高い報告では、有酸素運動単独ではなく、食事管理の併用が必要であると言われています。

ただし、カロリー消費量を考慮した運動量の設定であれば、体重減少の効果があるという報告もあります。

ダイエット=体脂肪を落として痩せることは、ただ闇雲に有酸素運動を続けるだけでは効率が悪いと言えます。正しい知識を取り入れて、続けられる方法を選んでみると良いでしょう。

有酸素運動とダイエットまとめ
  • 有酸素運動とは、ウォーキングやジョギングといった長時間継続して行える運動のこと
  • 体重を落とすためのダイエットでは、有酸素運動のみでは限界がある
  • カロリー消費量を考慮すると効果が見込める可能性がある
  • 筋トレとの併用は効果があまりない

参考文献

Isolated aerobic exercise and weight loss: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials 

Adrian Thorogood 1Salvatore MottilloAvi ShimonyKristian B FilionLawrence JosephJacques GenestLouise PilotePaul PoirierErnesto L SchiffrinMark J Eisenberg 10.1016/j.amjmed.2011.02.037 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21787904/

A systematic review and meta-analysis of the effect of aerobic vs. resistance exercise training on visceral fat I Ismail 1S E KeatingM K BakerN A Johnson 10.1111/j.1467-789X.2011.00931.x 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21951360

The effects of aerobic exercise on body composition in overweight and obese patients with gout: a randomized, open-labeled, controlled trial Ertao Jia 1,2,✉,#Haiqiong Zhu 3,#Hongling Geng 4,#Ruilin Liu 3Xueqian Wo 5Yaochi Zeng 6Wukai Ma 7Xueming Yao 7Zhiying Zhan 8Jianyong Zhang 1,2,✉  doi: 10.1186/s13063-022-06695-x https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9446810/

Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults Leslie H Willis 1,✉Cris A Slentz 1Lori A Bateman 1A Tamlyn Shields 5Lucy W Piner 1Connie W Bales 3,4Joseph A Houmard 5William E Kraus 2 2012 Sep 27;113(12):1831–1837. doi: 10.1152/japplphysiol.01370.2011 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3544497/

Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis Ahmad Jayedi 1 2Sepideh Soltani 3Alireza Emadi 4Mahdieh-Sadat Zargar 5Ali Najafi 6  2024 Dec 2;7(12):e2452185. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.52185. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39724371/