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みなさんこんにちは!hiroです。
今回はバーベルトレーニングの中でも大人気のベンチプレスです!僕も大好きです。
hiro
今回の記事はこんな人にオススメ!
- 胸板を厚くしたい
- 肩を痛めないベンチプレスがしたい
- スポーツで強くなりたい
ベンチプレスとは?
まずはベンチプレスとはどんなトレーニングなのかを紹介します。
スクワットやデッドリフトより動きが小さいですが、慣れないと難しいトレーニングです。
それではより詳しくベンチプレスについて説明していきます。
ベンチプレスの概要
- ベンチ台で仰向けになって行うトレーニング
- 上半身の筋肉をメインに鍛えるトレーニング
- 背中だけを反らせるのが正しいやり方
- 脚や背中も鍛えるトレーニング
ベンチ台で仰向けになって行うトレーニング
ベンチプレスのベンチとは、背中をつけて仰向けになりながらトレーニングを行うための台です。
ベンチ台に仰向けになり、バーベルを両手で支え、胸の前に下ろす。そして腕をプッシュしてバーベルを挙げるという動きです。
バーベルが体の上にセットされるので、失敗すると大事故につながります。重さを上げる時は慎重にやりましょう。
上半身の筋肉をメインに鍛えるトレーニング
姿勢から見ても分かるように、ベンチプレスは主に上半身を使います。
メインで使う筋肉は大胸筋です。胸板の厚さやバストアップに必要な筋肉なので、鍛えたい方は多いと思います。
その他にも、肩周りを大きくする三角筋や、上腕三頭筋(いわゆる二の腕)が主に使われる筋肉です。
肩を大きくしたい人や、二の腕を引き締めたい人はぜひやってほしいトレーニングです。
さらに、ベンチプレスは肩関節や肩甲骨まわりの筋肉も使います。バーベルを押すという動作に対抗するために、肩甲骨を安定させる筋肉が多く使われます。
背中だけを反らせるのが正しいやり方
ベンチプレスは世界中で人気のトレーニングなので、多くのトレーニーが行っています。その反面、多くの誤った方法も世の中に広がってしまっています。
特に注意していただきたいのが、「背中を反らせるかどうか」です!
トレーニング指導者の中には、背中を反らせるが正しいという人もいれば、背中はベンチ台につけたままが正しいという人もいます。さらに、お尻まで上げるくらい反らせろと言う人もいます。
体の骨格や筋肉の構造を正しく使いたいのであれば、背中だけを反らせるのが正解です!
背中を反らせることで、肩関節とバーベルのモーメントアームが短くなるため、運動効率が上がります。モーメントアームとは、物体にかかる回転させる力です。モーメントアームが長くなればなるほど、支えるための力が必要になります。
さらに、背中の反りは肩甲骨を背骨に引き寄せる動きを助けるため、大胸筋などの筋力発揮を効率よくさせます。
詳細はスクワットのテコの原理を参考にしてください。
脚や背中も鍛えるトレーニング
ベンチプレスは仰向けでバーベルをプッシュする動きをします。バーベルをプッシュするのであれば、反対方向にも力が働いていることになります。
これは、かの有名な物理学者アイザック・ニュートンが提唱した力の法則です。物理が苦手な方は避けてしまったかもしれません…
力の第三法則→“作用・反作用の法則”では、「ある物体が他の物体に力を加えると、後者もまた同じ大きさで反対方向の力を前者に加える」と言われています。
ベンチプレスで言えば、バーベルに力を加えれば自分の体にも反対方向の力が加わるということです。
特に背中に力が加わるため、ベンチ台に対して安定させなければなりません。そのために、背中の広背筋も使う必要があります。
また、背中の適度な反りを維持するため股関節を使います。臀部筋やハムストリングスといった股関節につながる筋肉により、背中を反らせる姿勢を支え、バーベルに押し潰されないようにします。これが、先ほどお話した「背中だけを反らせる」ことの理由です。
ベンチプレスをやってみよう!
それでは、実際にベンチプレスをやってみましょう!
順を追って方法を見ていきましょう。
ベンチプレスのやり方
バーベルの真下に目線がくるように仰向けに寝る
足裏全体を地面に着け、膝は90°曲げる
※足裏が地面に着かない場合はプレートなどを地面に置いて足を乗せましょう。
バーベルを握った時に肘がわずかに曲がる高さで、ラックを設定しましょう。
バーベルは親指をかける握り方で行う(親指をかけないサムレスグリップは絶対やらない!)
バーベルを一度胸に下ろし、前腕(肘から手首まで)が床と垂直になるところを見つけて握る
一度ラックから外して、胸の直上にセットする
胸の上にバーベルを下ろし、天井に向かって押し上げる
〈超重要!〉バーベルを下ろす位置は胸骨(胸の中央にある骨)の中心あたりに下ろす
ラックに戻すとき、バーベルが外れると大事故になるので慎重に!
回数が終了した後は、動作を最後まで行ってからラックに戻すようにする
(バーベルを挙げながらラックに戻さないようにする)
肩を痛めないベンチプレスの方法
ベンチプレスにおいて注意することは、肩を痛めないことです。
バーベルを下ろした状態を上から見たとき、腕が外側に開きすぎると肩の関節内で骨同士が衝突します。これを肩峰下(けんぽうか)インピンジメントと呼びます。インピンジメントとは「衝突・挟み込み」という意味で、まさに肩の関節を構成する肩甲骨と上腕骨(肩から肘までの骨)が衝突する症状です。
バーベルを鎖骨に近い位置に下ろしてしまうと、肩峰下インピンジメントが発生します。
ひどくなると、肩が上がらない・夜寝ていると激しい痛みを感じるといった症状が出てきます。
- バーベルを下ろす位置⇨胸骨の中心あたり
- 背中を適度に反り、肩甲骨を背骨に引き寄せながらバーベルを下ろす
バーベルが胸骨の中心あたりに来ると、肩の関節にある骨同士が衝突することはありません。
反対に、バーベルが足側にいきすぎても良くないです。バーベルが肩関節より遠くに離れると、モーメントアームが長くなるため効率よく挙上できなくなります。
背中を反りながら肩甲骨を背骨に引き寄せることも、インピンジメントを予防するために必要なテクニックです。
詳しくは後述します。
回数・セットを設定する
バーベルトレーニングは正しいフォームの習得に時間をかけましょう!間違った方法でクセがついてしまうと、変えることが難しくなります。
正しいフォームが定着したら、重さや回数・セット数を決めてみましょう。過去の記事を参考にしてみてください!
指導者が知っておきたいベンチプレスのポイント
これまではトレーニーがベンチプレスをマスターするための方法を紹介してきました。
ここからは、指導者側の目線でポイントをお話していきます。より専門知識を広げていただけたら幸いです。
ベンチプレスにおけるモーメントを考えよう
仰向けの姿勢でバーベルを天井に向けて挙上するときは、バーベルの真下に肩関節が位置する状態が理想です。しかし、これでは肩甲骨と上腕骨頭が衝突して痛みが出てしまうリスクが高いです。
横から見たとき、バーベルの軌道を斜め方向に動かすようにしましょう。肘が伸びた状態は肩関節の直上にあり、バーベルを下ろした時は胸骨の中央にくるようにします。
胸骨中央にバーベルが降りるので、若干のモーメントが発生してしまいます。そこで、背中を反ることでモーメントを減少することができます。
ポステリアルチェーンの筋肉を使おう
スクワットのヒップドライブでも使われるポステリアルチェーン(ハムストリングス・臀部筋)は、ベンチプレスでも活用しましょう。
背中を反ることで肩甲骨の内転が発生します。肩甲骨内転は大胸筋などの筋肉を安定して使うために必要です。
また、背中を反ることはバーベルが胸に着いた時のモーメントを減少させることもできます。
背中を反る時に使われる主動筋は広背筋です。ポステリアルチェーンの筋群が活動すると、広背筋が安定して収縮することができます。
ポステリアルチェーンを使うために、必ず足底を地面につけて行うようにしましょう。動作中は足底で地面を押すように指示すると、ポステリアルチェーンが活性化します。
肩峰下インピンジメントを予防する
先ほども述べた肩峰下インピンジメントを、解剖学の観点から見てみましょう。
バーベルを下ろすときに鎖骨近くに下ろしてしまうと、肩関節が外転します。ベンチプレスはベンチ台に背中が固定されているため、肩甲骨が外転方向に傾きやすくなります。
肩関節の外転が強いままだと、上腕骨頭が肩峰下に衝突するような動きになります。
ベンチプレスにおいてモーメントアームを0に近づけるには、バーベルが肩関節の直上にあるのが理想です。しかし、人体の骨格上そうはいきません。
上腕骨頭がスムーズに動く関節運動の目安は、バーベルが胸骨中央あたりに降りてくるようにします。
正しい補助の方法
ベンチプレスを高強度で行う場合、必ず補助者をつけるようにしましょう。失敗してしまうと、バーベルが頚部近くに落下してしまい、とても危険です。
フィットネスジムレベルでは、補助者は1人で十分です。もしパワーリフティングに向けて超高強度を扱いたい場合は、2人必要になります。
補助者が1人の場合、ベンチ台の頭側に立ち、バーベルを両手でつかめるようにします。オルタネイトグリップでバーベルを持つように準備します。
補助が必要と判断されたら、素早くサポートしましょう。バーベルが上がりきらない場合、実践者も手を離さずに補助者と一緒にラックまで戻します。
まとめ
ベンチプレスは、スクワットとデッドリフトと合わせてトレーニングのBIG3と呼ばれています。特に上半身を鍛えるためにとても重要な種目なので、ぜひマスターしましょう!
ポイントをまとめましたので、最後に確認しましょう。
- 背中だけを反らせる
- バーベルは胸骨の中央に下ろす
- 足底を地面につけ、ポステリアルチェーンを使う
- 高強度の場合は補助者をつける
参考文献
スターティングストレングス Mark Rippetoe (著), 八百 健吾 (監訳) 2019.4.5