「筋トレは体を鍛えるためのもの」
そう思っていませんか?

実は、筋力トレーニングは将来の病気を防ぐ“予防医療”としても非常に強力な手段であることがわかってきています。

近年の研究では、筋力トレーニングを行う人は

  • ガン
  • 動脈硬化
  • 2型糖尿病

といった生活習慣病のリスクが低いことが報告されています。

つまり筋トレは、見た目を変えるだけでなく、健康寿命を延ばす可能性のある運動なのです。

本記事では、筋力トレーニングがこれらの病気にどのように影響するのかを、科学的研究をもとに解説していきます。

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今回の記事はこんな人にオススメ!

  • 医師から運動しなさいと言われた
  • 病気にならないカラダを作りたい
  • 健康寿命を延ばして充実した生活を送りたい

筋力トレーニングが「予防医療」として注目されている理由

筋肉=代謝器官である

筋肉の主な働きは、関節を動かして立ち上がったり、歩いたり、スポーツをしたりと、様々な動作を生み出す器官です。

しかし、最近の研究ではもう一つの働きがあると発表されています。

それは、筋肉が代謝に関係するホルモンを生成する“代謝器官”ということです。

筋肉は運動によって「マイオカイン」という物質を分泌し、血液を通じて脳・脂肪組織・肝臓・血管に作用します。

マイオカインの作用により、脂肪分解の促進・血糖値の安定化・慢性炎症の抑制が体内で起こり、生活習慣病に関わる重要な機能がコントロールされます。

マイオカインは総称であり、IL-6・SPARC・イリシンなどがあり、それぞれ作用が異なります。

つまり筋肉は、動くための器官だけでなく、「全身の健康を支える代謝器官」なのです。

図.マイオカインの作用

有酸素運動だけでは足りない?

心血管系の病気や糖尿病の多くは、太りすぎによる脂肪組織の過剰な蓄積が原因となります。

脂肪組織の中でも内臓脂肪は、細胞を傷つける生理活性物質を分泌してしまうため、体内に悪影響を及ぼします。

血管の内側にある細胞(血管内皮)が傷ついて炎症すると、動脈硬化などの心血管系疾患のリスクが高くなります。

有酸素運動は脂肪燃焼を促進するので、脂肪過多による疾患に対しては効果があります。

しかし、糖尿病やがんの抑制には、筋トレを併用することが良いと研究されています。

詳しくは後述します。

筋力トレーニングはガンのリスクを低下させる

ガン予防に関与すると考えられるメカニズム

前述したマイオカインは、ガン細胞の増殖を抑制する効果があります。

マイオカインはいくつか種類があり、ガン細胞の増殖を抑制するSPARCや、NK細胞(ガン細胞を攻撃する免疫系)の活性化や内臓脂肪の減少を行うIL-6があります。

さらに、筋肉量の増加に伴い基礎代謝がアップすると、脂肪燃焼効果が高まるので、内臓脂肪の減少も期待できます。

内臓脂肪による慢性炎症は、ガン細胞の増殖も助長してしまいます。

ガン死亡率の研究の現状

人間に対するガンへの運動介入実験は、体力低下などにより多くの実施ができないのが現状です。

そのため、実験数が少ないことや動物実験等が根拠となっているので、不確定なものも含まれます。

テレビやネットで取り上げられやすいテーマなので、新しい情報をすぐ鵜呑みにするのではなく、自分で調べてちゃんとした根拠があるのかを明確にすることをオススメします。

筋力トレーニングと動脈硬化・心血管疾患の関係

筋トレと心血管疾患リスクの研究

心血管疾患に陥った患者さんは、体力低下の予防のために心臓リハビリテーションというリハビリを行うことがあります。

このリハビリは、ほとんどが有酸素運動で行われています。

これは筋力トレーニングが患者さんに対して安全に、そして効果的に実行できるか不明点があったためです。

2025年の最新の研究では、心血管疾患の患者さんでも適切な強度・管理のもとで行えば、安全に実施可能であると報告しています。

体力低下を予防するために、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、生活動作の改善につながります。

血管機能や血圧への影響

筋トレと血圧の変化をみた研究では、収縮期血圧(上)を平均約3.0〜6.0 mmHg、拡張期血圧(下)を平均約2.0〜4.0 mmHg低下させると報告しています。

これは、一部の降圧薬に匹敵すると示されており、有酸素運動と同等かそれ以上の効果があるというデータもあります。

筋トレを行うと筋肉のポンプ作用により血流が促進され、血管内皮細胞が刺激されて一酸化窒素が放出されます。

一酸化窒素は血管を広げる働きがあり、血管抵抗性が低下し血圧を下げるという仕組みです。

筋力トレーニングは2型糖尿病の予防に有効

筋肉と血糖代謝の関係

筋肉は血糖を処理する最大の臓器であることが示されています。

食事から摂取した糖分は、そのほとんどが血液を流れて筋肉に貯蔵されます。

つまり、糖分を溜めておく貯蔵庫の役割を筋肉が担っていることになります。

「筋肉量が少ない=貯蔵庫が小さい」と、「中に入れたいもの=糖分」が溢れてしまいます。

その結果、血液中に糖分が多量に溢れてしまい、血糖が高くなって糖尿病を引き起こすようになってしまいます。

研究では、筋肉量が少ない場合はメタボリックシンドロームを発症するリスクが約2倍まで増加すると報告されています。

インスリン感受性・GLUT4の改善

ホルモンの一種であるインスリンは、体内に糖分(グルコースなど)が入ってくると膵臓から分泌され、糖を細胞内に取り込ませてエネルギーとして利用するように働きます。

糖が体内に入ってきたらインスリンを分泌する反応を、インスリン感受性と言います。

インスリンの分泌により、細胞はGLUT4と言う受容体を使って糖分を細胞内に取り込みます。

GLUT4は糖が血液から細胞内へ通過するための扉の役割をします。

糖尿病は、体内の糖分が多くなってもインスリンを分泌してくれなくなり、血液内に糖分があり余ってしまう状態です。

筋トレを行うと、マイオカインの分泌によりインスリン感受性が高まるため、糖分をエネルギーとして細胞内に取り込めるようになります。

さらに、筋トレはGLUT4を増加させることもわかっているので、細胞内への取り込みを効率よく行えるようになります。

健康効果を得るための筋力トレーニングの方法

推奨されているトレーニング強度・頻度

以下の表は、心血管疾患に対する筋力トレーニングを研究したものの中で、推奨されている内容になります。

強度最大筋力の40~60%(中等度)から開始
徐々に強度を高めていく
頻度週2~3回
内容フリーウエイトを中心に
(全身の大きな筋肉を鍛える種目)
注意点血圧が極めて高い人(180/110 mmHg以上など)は、まず医師の管理下で血圧をコントロールしてから開始

初心者でも取り入れやすいトレーニング例

上記の表に示したトレーニング内容のフリーウエイトは、設備があるジムに行くか、自宅でやりたい場合は専用の道具を揃えなければなりません。

ハードルが高くて手を出しづらいと思います。

そのため、まずはオモリを使わない自重トレーニングを自宅で始めることをオススメします。

自重トレーニングでも、簡単な腹筋や腕立てだけでなく全身の筋肉を使うトレーニングを選択しましょう。

自宅でできるトレーニング例
  • スクワット
  • ルーマニアンデッドリフト
  • スプリットスクワット
  • 壁付きプッシュアップ
  • 速歩

まとめ

様々な研究結果から、筋力トレーニングは「健康寿命を延ばす」可能性があると言えます。

筋トレ=マッチョになるためのものという認識は捨てて、自分の将来のために“今から”始めてみましょう!

なぜなら、「今日が自分にとって一番若い日」なので。

参考文献

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Luke Stanaway et.al.(2019).Acute Supplementation with Nitrate-Rich Beetroot Juice Causes a Greater Increase in Plasma Nitrite and Reduction in Blood Pressure of Older Compared to Younger Adults.Nutrients. 2019 Jul 22;11(7):1683.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31336633/

Arnengsih Nazir.et al.(2025).Resistance Exercise as a Safe Modality for Quality of Life Improvement in Patients with Coronary Artery Diseases: A Review.J Multidiscip Healthc. 2025 May 21;18:2813–2823. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12103856/

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