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脳筋度とは、筋トレに対する知識がどれだけ高いかを示す運営者独自の数値です

みなさんこんにちは!

筋トレ実践編の2回目は、デッドリフトを紹介します。
デッドリフトはスクワットと同じくらい重要なトレーニングですので、みなさんもマスターできるようにしましょう!

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今回の記事はこんな人にオススメ!

  • デッドリフトをやると腰が痛くなる
  • 美脚を作りたい
  • スポーツで強くなりたい

デッドリフトとは?

デッドリフトは、地味でキツいだけなのでスクワットやベンチプレスより人気がないトレーニングです。ですが、下半身のトレーニングを充実させるためにはデッドリフトを正しくできる必要があります。

デッドリフトは、スクワットとベンチプレスと合わせて筋トレのBIG3と呼ばれています。BIG3をマスターできると、全身の筋トレが満遍なくできると言われています。

まずはデッドリフトの基本について紹介します。

ヒップヒンジを覚えることができる

股関節は上半身と下半身をつなぐ関節であり、パワー発揮の最初に使われる部位です。股関節の周りにある筋肉は、大きくて力強いです。しかし、正しく使える人は少ないです。

股関節は臼状関節と呼ばれ、関節があらゆる方向に動くことができます。その中でも基本の動きが、屈曲・伸展という動作です。直立姿勢の時、もも上げをした時は股関節が前に曲がるため、屈曲と言います。反対に足を後ろに伸ばした時を伸展と言います。
股関節の屈曲・伸展が正しくできなくなると、腰や膝に余計な負荷がかかるような代償が発生します。また、ランニングなどのスポーツ動作でも、一部の筋肉に負担が偏り、ケガにつながります。

股関節の屈曲・伸展を正しいポジションで行うためには、ヒップヒンジが大切です。ヒンジ=蝶番という意味ですが、股関節を軸にして体幹と脚を蝶番のように動かすことをヒップヒンジと呼びます。

デッドリフトは、このヒップヒンジが動きの中心になります。スクワットは膝や肩も動くので難易度が上がります。デッドリフトをマスターすることで、スクワットのような下半身のトレーニングも難なく行うことができるようになります。

他のバーベルトレーニングの基礎となる

スクワットやクリーンといった全身を使うバーベルトレーニングは、習得が難しいことが多いです。特に困難になりやすいのが、骨盤周囲の筋肉をどれだけ上手く使うかというところです。

スクワットは股関節と膝関節が同時に動き、ボトムポジション(しゃがみ込んだ姿勢)を作ります。このときにもヒップヒンジが必要になります。

クリーンとは、バーベルを床から一気に引き上げて鎖骨に乗せる種目です。全身のパワー発揮のためによく行われるトレーニングです。
クリーンのスタート姿勢はデッドリフトなので、デッドリフトが正しくできない人はクリーンもできません。

全身のパワー発揮の中心は骨盤や背骨です。骨盤に関係する股関節を正しく動かし、大きなパワーを生み出します。
バーベルトレーニングのほとんどは、デッドリフトから始まると言えます

短縮性収縮で行うトレーニング

筋肉は力の発揮の仕方に違いがあります。

単純に筋肉が縮んで関節が動く状態を短縮性収縮と呼びます。筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する状態を伸張性収縮と呼びます。

スクワットでしゃがみ込む時にハムストリングスや臀部筋は伸張性収縮をしています。筋肉に力が入りながらも伸ばされていて、立ち上がるところから短縮性収縮が始まります。

伸張性収縮は筋肉の伸張反射を使うことができるため、より大きな収縮力を生み出すことができます。

デッドリフトは、伸張反射が使えない、かつ股関節の最大屈曲位(前ももがお腹につくぐらい曲げた状態)から運動を開始します。短縮性収縮しかできないため、自分の筋力だけで挙げなければなりません。

この短縮性収縮を爆発的に行うことで、後述するスポーツ動作の改善につながります。

収縮様式についてはスクワット実践編の記事を参考にしてください。

スポーツ動作に影響する

デッドリフトを継続的に行った場合、スポーツの基礎動作であるダッシュやジャンプが向上するという研究結果があります。

論文レビュー

  • デッドリフトは、ハムストリングスや内転筋のRTD(力のトルク発揮)の速度向上に効果がある→スポーツパフォーマンスの改善に期待できる
  • RTDの速度向上は垂直跳びのパフォーマンスに効果がある→シャンプ・スプリント・アジリティにおいて重要である

ただし、年齢やスポーツ熟練度に左右される可能性があるため、デッドリフトだけではなくその他の専門的トレーニングも考慮して行いましょう。

デッドリフトを実践しよう

それでは、デッドリフトを実践してみましょう!

写真を見てもらいながら、わかりやすく紹介します。

デッドリフトパターニング

デッドリフトで特に重要なものがヒップヒンジです。

まずはヒップヒンジを簡単にできるように練習をしましょう。

STEP1
両膝立ちになり、背中に棒を持って背骨をまっすぐにする

棒は後頭部・背中・臀部に着けるように持つ。

STEP2
お尻を後ろに引きながら上半身を前傾する

この時棒が体から離れないようにする。体重は常に膝上にかかるようにする(つま先にならないようにする)。

STEP3
最初の姿勢に戻す

臀部の筋肉が活性化するのを感じる。

ルーマニアンデッドリフト

デッドリフトパターニングでヒップヒンジの感覚がつかめたら、バーベルを使ってやってみましょう。

通常のデッドリフトはプレートを付けたバーベルが床に置かれた状態からスタートします。ここからスタートすると股関節の屈曲角度が大きいため、初心者には難しいと感じることが多いです。

まずはヒップヒンジの角度を浅くした状態で練習します。ルーマニアンデッドリフトと呼ばれる方法でやってみましょう!

STEP1
バーベルをセットする

バーベルは床から約20cm程度の高さになるようにセットします。プレートを付けない場合はセーフティバー等を使います。

STEP2
バーベルを持ち上げてスタート姿勢を作る

バーベルから脛まで約5cm後ろに立ち、バーベルを握る。
膝を軽く前に出して脛がバーベルにつくようにする。
背骨を一直線にしたまま膝を伸ばして立ち上がる。

※この時腰を痛めるリスクが高いので注意しましょう

STEP3
バーベルを膝前あたりまで下げる

ヒップヒンジを作りながら、バーベルを下げます。背骨が一直線になるように腹筋を使いましょう。この時、もも裏や臀部の筋肉が活性化するのを感じましょう。

STEP4
スタート姿勢に戻す

かかとから頭部まで一直線になるまで立位姿勢に戻します。この時、臀部と腹筋を使って姿勢をコントロールするようにしましょう。

STEP5
回数・セットを組む

初心者の方はプレートを付けずに10〜12回を3〜5セット行いましょう。
慣れてきた方はプレートを付けて重さを増やしましょう。

美脚への第一歩

ルーマニアンデッドリフトはハムストリングスと臀部筋をより優先的に鍛えることができます
美脚を目指したい人は、これらの筋肉をしっかり鍛えることをオススメします!
脚の筋肉全体をバランスよく使うことで、骨格に沿ったボディラインが作られます。反対に筋肉の成長が偏るとバランスが崩れてカッコ悪い脚になってしまいます。
現代人のほとんどは前ももやふくらはぎの筋肉を優先して使うクセがあるので、デッドリフトでハムストリングスや臀部筋を鍛えましょう!

通常のデッドリフト

ルーマニアンデッドリフトでヒップヒンジを習得できたら、いよいよ通常のデッドリフトを行います。

STEP1
バーベルをセットする

バーベルは床から約20cm程度の高さになるようにセットします。プレートを付けない場合はセーフティバーやブロックを用意しましょう。

STEP2
スタートポジションをとる ←一番重要!!

バーベルから脛まで2.5~5cm空けて後ろに立ち、足は肩幅程度に広げてつま先を若干外に開きます。
背骨をまっすぐにしながらお尻を落とし、足のすぐ外側に手が来るようにバーベルを握る。
目線を斜め前に向け、胸を張る(腰を反りすぎないように)。
挙上動作に入るまでバーベルを動かさないようにしましょう。

※このスタートポジションをデッドストップと呼びます

STEP3
立ち上げる

膝を伸ばすように立ち上げて、かかとから頭部まで一直線になるようにする。
臀部筋と腹筋を使って直立する。腰が反りすぎないようにする。
肩や首に力が入りすぎないようにする(バーベルを握るだけという意識)。

STEP4
スタートポジションに戻す

バーベルを真下に下ろします。
重量が大きい場合は背筋を使ってゆっくり下そうとすると筋肉を痛めてしまう可能性があるので、すぐさま下ろしましょう。急激に下ろしても良い床の環境で行いましょう。

STEP5
回数・セットを組む

初心者の方はプレートを付けずに10〜12回を3〜5セット行いましょう。
慣れてきた方はプレートを付けて重さを増やしましょう。

フォームができてきたら、重さや回数・セットを設定して継続してみましょう。記事を参考にしてみてください!

参考文献

スターティングストレングス Mark Rippetoe  (著), 八百 健吾  (監訳) 2019.4.5

Federico Nigro 1Sandro Bartolomei 1,* A Comparison Between the Squat and the Deadlift for Lower Body Strength and Power Training J Hum Kinet
. 2020 Jul 21;73:145–152 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7386153/

Choe, Kevin H.1,2; Coburn, Jared W.2; Costa, Pablo B.2; Pamukoff, Derek N.2 Hip and Knee Kinetics During a Back Squat and Deadlift Journal of Strength and Conditioning Research 35(5):p 1364-1371, May 2021. https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2021/05000/Hip_and_Knee_Kinetics_During_a_Back_Squat_and.26.aspx

Thompson, Brennan J.; Stock, Matt S.; Shields, JoCarol E.; Luera, Micheal J.; Munayer, Ibrahim K.; Mota, Jacob A.; Carrillo, Elias C.; Olinghouse, Kendra D. Barbell Deadlift Training Increases the Rate of Torque Development and Vertical Jump Performance in Novices Journal of Strength and Conditioning Research 29(1):p 1-10, January 2015. https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2015/01000/Barbell_Deadlift_Training_Increases_the_Rate_of.1.aspxvHow